里山を荒廃から救う具体的な手法として次に提案したいのは、炭の利用である。
里山林は使われなくなって荒れてしまったが、里山林を
「泳げる川を取り戻す」にはどうすればいいか。一次・二次処理をする単独合併処理槽に、炭を使った三次処理槽を付け加えることによって、処理水を飲めるまで浄化できる。窒素もリンも二〜三ppmである。炭を使った浄化槽をいち早く導入した福岡県久山町へ処理水を飲むために訪ねたことがある。生活環境課長の松尾さんが湯飲みと柄杓を持って出迎えてくれる。
三次処理槽のところへ行って、松尾さんがゴクゴクと処理水を飲み始めた。私も飲んでみた。京都の水道水よりもおいしかった。私は美濃の借家に炭を使った単独合併浄化槽を設置した。飲める処理水を流しているのは気分がいい。集中下水処理をできるだけ減らし、炭を使った合併浄化槽をどうしたら増やすことができるか。下水道建設には膨大な税金が使われて、その起債による借金が地方自治体の財政を圧迫しているため、今多くの自治体が、下水道建設の見直しを始めた。いいことである。秋田県は一部を浄化槽にすることで、一千億円を超える節減になると試算している。優れた単独合併浄化槽で下水処理ができるようになったからである。
(岐阜新聞 2003年6月1日)