農業を変えるバイオディーゼルを推進するために

田端英雄

わたしは,「里山の自然」を出した時点では,農業をどう変えるのかについて十分な提案ができなかった.

問題点は,法的には何の根拠もない減反政策が,政府が関与していないかのような形で農協などを通じて依然としてほとんど強制的に行われていること,減反政策が日本の農地を荒廃させていること,生物の多様性の保全を困難にしていることなどであることを指摘して,減反をやめて,日本の自然の保全の観点からみてもっとも危機的な状況にある耕作放棄された中山間地の農地を再び農業環境として回復させることが肝要であると主張した.しかし,その方策については具体的な提案をすることができなかった.

その後,昨年の夏頃にある程度具体化できる見通しのある反減反の方策といえる具体的提案として,バイオエネルギー作物の導入を考えるようになり,「科学」の今年1月号掲載の「木質熱電併給システムによる里山の持続的管理を—新しい農業・新しい林業」の中で,エネルギー作物としてナタネの導入を提案した.

ナタネ油をエステル化して,バイオディーゼルとしてディーゼルカーを駆動させるというもので,すでにドイツなどでの先進的な経験があるうえに,日本の農業には広い地域で栽培技術の蓄積もあるので,日本でも燃料作物ナタネを導入することによって耕作放棄された耕地をもう一度耕地に戻すことができると確信するようになった.バイオマス利用のコジェネが始まれば,燃料の安定供給のためにヤナギの栽培も農業再生の有効な方策として考えられるが,バイオマス・コジェネがない現在の段階ではナタネ栽培を進めたいものだと思う.

ここで簡単にバイオディーゼルの紹介をしたいと思う.次に訳すのは,やや古いが基本的な資料として滋賀県環境生協の藤井絢子さんから提供をうけたドイツのufop (Union for Promotion of Oil and Protein Plant, 油作物・蛋白作物推進連盟)のパンフレットである.

ドイツにおけるバイオディーゼル

ufop の活動—

バイオディーゼルとは何か

いったいバイオディーゼルとは何か

どのようにしてバイオディーゼルはつくられるか

バイオディーゼルを使うためのルール

塗装部分

環境のためにあなたのタンクにバイオディーゼルを入れよう

バイオディーゼルについての若干の事実

直接的環境保護

実際の長期的使用