さとやま

里山研究会ニュースレター
第8号
1994年11月20日発行

ワークショップ「里山の現状'94」を開催しました

さる3月11日・12日の両日,京大楽友会舘におきましてワークショップ「里山の現状'94」を開催いたしました。両日にわたって,活発な意見交換がおこなわれました。参加された方,また支援していただいた方にあらためてお礼申し上げます。

また,翌13日には相楽郡木津町の鹿背山におきましてエクスカーションをおこないました。ここは学研都市開発予定地に含まれていますが,希少動物であるオオタカの生息地であり,当日もオオタカが観察されました。

郵便振替の番号が変わりました

郵便振替のシステム変更にともない,本会の郵便振替番号が5月より変更されました。お間違えのないようにお願いいたします。

    旧:京都 3-11462
    新:01030-2-11462

国際セミナー「里山とその自然の持続的利用」を開催します

来る12月9日から11日までの3日間,京都府北桑田郡京北町の京都府立ゼミナールハウスにおきまして,国際セミナー「里山とその自然の持続的利用」を開催いたします。この国際セミナーは,アジアの国々の里山について情報を交換するとともに,友好を深めることを目的としたものです。詳しくは4ページをご覧ください。


ワークショップ「里山」の記録

さる3月11・12日の両日,京大楽友会舘におきましてワークショップ「里山」を開催いたしました。以下,その記録です。

3月11日
    田端英雄(京都大学生態学研究センター)
        「里山の問題点 −ワークショップの目的−」
        本ワークショップの趣旨説明
    勝股文夫(和歌山県南部川村備長炭生産者組合組合長)
        「炭焼きによる森林の持続的利用と炭の可能性を探る
          —炭焼きを通して森林をみる」
        紀州備長炭とその原料となるウバメガシ,また南部川村の暮らしについて
    吉津耕一(福島県只見木材加工協同組合専務)
        「たもかくがめざすもの−ナチュラル・トラスト,ナチュラル・ピース,
          グリーンパスポートなど」
        只見町での「田舎を売る」などのユニークなとりくみについて
    山村恒年(山村法律事務所・元神戸大学法学部教授)
        「里山の意義と市民参加の自然保全」
        法律面から見た里山の保全手法,また地域の内発的な発展の進め方について
        
3月12日
    中越信和(広島大学総合科学部)
        「景観生態学から見た里山−地域計画のなかの里山」
        ドイツ・ノルウェー・中国・韓国などの事例の紹介と日本の里山の保全に関して
    中島政敏(阿蘇グリーンストック設立準備会)
        「阿蘇グリーンストック運動−市民参加の地域計画」
        ゴルフ場計画に対抗して始まった「阿蘇グリーンストック運動」の紹介
    横山卓雄(同志社大学理工学研究所)
        「南山城の自然史」
        京阪奈丘陵の地史について
    総合討論
    
3月13日
    エクスカーション
    木津町鹿背山地区
        南山城の自然と鹿背山の歴史・文化についての報告
        オオタカの生息地である鹿背山の里山を歩く。オオタカはこの日も姿を見せた。

里山文献情報をお願いします

里山研究会ではこの度,里山に関する文献データベースを整備することとしました。二次林や身近な自然・そこに生きる生物など里山に関する単行本・雑誌記事・研究論文などの情報を求めます。できればMS-DOSまたはMacintoshフォーマットのフロッピーにテキストファイルでお寄せいただけると後の処理が助かります。様式は以下の例にならってお願いします。

単行本の場合

    千葉徳爾. 1991. 増補改訂はげ山の研究. 349pp. そしえて, 東京.

論文・雑誌記事の場合

    守山弘. 1992. 里山を作る鳥−鳥によって支えらえた農村樹林の種多様性−.
    生物科学, 44(2): 73-78

受け入れ資料

次の各団体から資料をいただきました。閲覧ご希望の方はお知らせください。

    東京都桜ヶ丘公園管理所より
        「桜ヶ丘公園ボランティアニュース」Vol.3 No.11〜Vol.4 No.6
        「桜ヶ丘公園今日はこれをみていこう」No.45〜No.51
        「平成5年度桜ヶ丘公園雑木林ボランティア活動記録集」
    エコ・コミュニケーションセンターより
        「水土里の森」第9号〜第14号
    橿原市昆虫館より
        「GONTA」Vol.4 No.2
    ヤマギシズム地球村実行委員会より
        「けんさん」第293・295・298号
    森林経営研究会より
        銀杏通信 1994.6.18号

1993年度 里山研究会会計報告


  収入                             支出
┌─────┬────┬────┐┌─────┬────┬─────────┐
│項目      │   金額 │  摘要  ││項目      │   金額 │       摘要       │
├─────┼────┼────┤├─────┼────┼─────────┤
│前年度繰越│  4 3485│        ││通信費    │  1 2232│ニュースレター発送│
│カンパ    │ 10 8937│        ││雑費      │   4255│封筒,宛名シール  │
│利子      │     164│郵便貯金││次年度繰越│ 13 6099│                  │
├─────┼────┼────┤├─────┼────┼─────────┤
│合計      │ 15 2586│        ││合計      │ 15 2586│                  │
└─────┴────┴────┘└─────┴────┴─────────┘

昨年度は,全労済から助成金を得まして,これをニュースレター発行費・ワークショップ会場費などにあてました。全労済からの助成金は里山研究会の会計とは別に処理いたしました。みなさまから頂いたカンパは基金として積み立て,今後の運営にあてることとしましたのでご了承願います。


国際セミナー「里山とその自然の持続的利用」開催

参加してアジアの里山の状況を知るとともに友好を深めましょう

土曜日曜に里山調査に出かけることが多くて,今年度は今まで里山研究会の研究会や講演会を開くことができませんでした。そこで,京大生態学研究センター・里山研究会が企画しました里山に関する小規模な国際セミナー(京都ゼミナールハウス主催の第6回京都国際セミナー)を,里山研究会の研究会と位置づけて参加を呼びかけることにしました。このセミナーを企画したのは,アジアの国々の里山の状況に関する情報交換を行うとともに,里山研究の重要性を確認してアジアでともに連絡をとりながら里山の研究を始めようではないかと提案したいと考えたからです。高度成長期以降に日本の里山で起きたことが韓国などではやや遅れて起きているにもかかわらず里山はまったく注目されていないという状況があります。また,中国のハゲ山がいつ頃発生したのかを知り,中国の里山が今どのように利用されているかを知りたいと考えたのです。森林の荒廃が進んでいるネパールの人々には,かつてハゲ山だらけだった日本の過去の状況を知ることが林地荒廃から脱出する希望につながることになるだろうと考えたのです。

日時:12月9日(金)午後1時から12月11日(日)正午まで。

場所:京都府立ゼミナールハウス

12月9日10日と京都ゼミナールハウスに泊っておこないます。

参加費:資料代1000円

宿泊費は,9日10日の宿泊,9日夕食から11日昼食までの食事代を含めて実費のみで,一般1万2千円,学生9千円。

一部参加の場合は資料代の他,食事代宿泊費の実費のみ。

申込み:会員諸氏の周辺で関心のある方にもお知らせ下さい。なお,参加希望者はできるだけ葉書または Fax で次のような表の必要なところに○を記入して田端までお申し込み下さい。

606-01 京都市左京区北白川 京都大学生態学研究センター
田端英雄  Fax: 075-753-4253  (Tel : 075-753-4240 )

┌────┬──┬──┬──┬──┐
│        │朝食│昼食│夕食│宿泊│
├────┼──┼──┼──┼──┤
│12月 9日│ × │ × │    │    │
├────┼──┼──┼──┼──┤
│12月10日│    │    │    │    │
├────┼──┼──┼──┼──┤
│12月11日│    │    │ × │ × │
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京都府立ゼミナールハウスの所在地と交通

所在地:京都府北桑田郡京北町下中 (Tel: 07715-4-0216  Fax: 07715-4-0316)

交通:JRバス:京都駅発 6:45 9:20 の丹波上川行で「下中」下車,徒歩5分。所要時間約1時間40分。京都駅発 8:10 の周山行で周山で鳥谷行に乗換え,「下中」下車,所要時間約1時間50分。

10:00,11:20の周山行で周山でゼミナールハウス行に乗換え終点下車。所要時間約1時間50分。

自動車:国道162号線で京都市内から約1時間20分.(略図参照)


第6回京都国際セミナー

安定社会
—里山とその自然の持続的利用—

京都
1994年12月9-11日

12月9日(金)午後
    13:00 川那部浩哉:開会の挨拶
    13:10 田端英雄:セミナーの目的

    第1部 アジア諸国の里山の状況

    13:30 肖篤寧:ヤママユガの飼料を供給する中国東北部のナラ林
    14:15 チャン・ナムキー:韓国における環境自己浄化にたいする緑地帯の影響
    15:00  —コーヒーブレイク—
    15:30 S. B. マッラ:ネパールにおける森林:その状況と発展の見通し
    16:15 小椋純一:古史料からみた日本の里山景観の歴史
    17:00 討論
          ポスター・セッション
          千葉徳爾:東アジアにおける林地荒廃の発生
                    —その時代・原因・今後の課題—

12月10日(土)午前

    第2部 里山の生態学
    
    09:15 石井 実:近年における里山のチョウ相の変化
    10:00  —コーヒーブレイク—
    10:30 中越信和:経済活動と景観からみた里山の維持
    11:15 リー・キュソン:韓国江原道における焼畑跡地の植生回復

12月10日(土)午後
    13:30 田端,佐久間,伊東,柳沢,本間,白井,立沢,瀬川,日比,
          小坂,宮崎,辻川,安川:里山の生態的特性
    14:15 横山和正:菌相とその利用からみた里山の特性
    15:00  —コーヒーブレイク—
    15:30 ポスター・セッション
          守山 弘:里山保全の基礎としての里山環境の創造
          瀬嵐哲央:竹林の拡大—里山の竹林化—
          小野山敬一:里山のアリ相の特徴
    16:15 討論
    18:00 公開講演
          郷土芸能公演
          S.B.マッラ:ヒマラヤの自然
          田端英雄:里山とその将来

12月11日(日)午前

    第3部 里山の保全とその持続的利用

    09:00 吉津耕一:里山になにが起きたか—里山を保全するための我々の提案
    09:30 氏原 修:里山保全における森林組合の役割
    10:00 —コーヒーブレイク—
    10:30 ポスター・セッション
          重松敏則:里山と水田景観の保全のための日英共同ワーキングホリデーの提案
    10:30 総合討論
    11:45 閉会

投稿をおまちしております

「さとやま」では,みなさまからの投稿をおまちしております。意見・質問・おぼえがき・身近な自然の話題など何でもかまいません。また,里山に関する文献の情報もお待ちしておりますので,よろしくお願いします。

カンパのお礼

次の方々からカンパをいただきました。厚くお礼申し上げます。

今堀順寿・名和明・村上治道・ワークショップ「里山の現状'94」参加者のみなさま

(順不同・敬称略)

カンパのおねがい

「さとやま」は,みなさまからのカンパをお待ちしております。よろしくおねがいします。カンパは切手でもかまいません。

なお,郵便振替口座を開設しておりますので,ご利用ください。口座番号は01030-2-11462,加入者名「里山研究会」です。本年5月より口座番号が変更になりましたのでご注意をお願いします。

また,経費節減のため原則として領収証は発行いたしておりません。とくにご入用の方はその旨おしらせください。

編集後記

この夏は記録的な猛暑でしたが,みなさまのまわりの自然はいかがでしょう。もう毎度の事になってしまいましたが,またもや発行間隔があいてしまいました。申し訳なくおもいます。

頻繁な発行のためにも読者の方からの投稿をよろしくお願いします。また,里山文献の情報もよろしくお願いします。

(伊東)