セラミック炭の製造から考える

嘉山博 (JCC)

数年前に小社がたどり着いた多様能特殊炭化物“セラミック炭”は,分析基礎データを積み重ねるにつれ,環境問題の解決手段としての有効性が証明されてきた.そのひとつとして,我々は農業分野でのセラミック炭利用に着目し,現在までさまざまな栽培実験等を経験してきた.その経過は,以下1〜3となる.

1. セラミック炭を培地として花卉,果菜を栽培した場合,根系部の発達に著しい活性が確認された—当初,セラミック炭の単用によって得られた結果であり,その物理性,化学性より土壌改良材としての利用を研究の対象にした.

2. セラミック炭に有機肥料を加用して作物を栽培した場合,量・質共に好結果が得られた—セラミック炭は当然の事ながら,その焼成工程において肥料の重要成分である窒素成分が消失しているので,セラミック炭単用での長期栽培は不可能である.そこで主に窒素供給を目的として有機肥料の混用を考えた.その結果,収穫物に好結果が得られ,有機質を上手に添加すれば,セラミック炭で高栄養価の野菜栽培が確立されると考えられた.

3. セラミック炭に肥効成分を含有させる目的及ぴ,有機質未利用資源の有効活用の両面より,バイオセラミック炭の考えを導入した—我々はセラミック炭に,有機肥料を加用する考え方の発展型として,セラミック炭自体に肥効成分を付着させる方法を模索した.そこで我々は現在のゴミ問題で重要な課題となっている生ゴミに着目した.小社ではセラミック炭と食品残さ等を混合し,高温好気性発酵させ,肥効成分をセラミック炭に付着させる事に成功した.またセラミック炭を使用する事により,小社がとっている堆肥化処理が従来の方法ですと3ヵ月かかる所を,1ヵ月まで短縮することができた.

バイオセラミック炭 (いままで食品残さとの発酵処理,イワシのアラとの発酵処理,オカラとの発酵処理を経験した) は,肥料成分の含有が確認され,培地として作物を栽培した場合,量,質,栄養価共に好結果が得られた.また赤土と混合しても,同様の結果が得られました.ここからセラミック炭の土壌改良効果に肥料効果をプラスしたバイオセラミック炭の有効性を確認する事ができた.

林業,緑化産業などから発生する木質系有機物を,水産加工業,食品加工業などから発生する栄養価に富んだ有機物と共に有機質未利用資源と位置付け,自然界から発生するそれらを土壌還元して,地力の向上をはかる(資源再利用農法).土壌微生物が豊富となり健康になった土で美味しく育った三浦野菜から,資源の循環やゴミ問題へつなげて行きたい.